あおいデンタルクリニック (港区/麻布十番駅)
青井 良太 院長、大場 強斗 先生の独自取材記事
東京都港区麻布十番のビルにある「あおいデンタルクリニック」。“患者のために”を第一に掲げる青井良太院長が、2007年の開業より約20年にわたり診療に精魂を傾けてきた都市型の歯科医院だ。治療の始まりから終わりまでの全体を見渡して実行する用意周到さや、歯科医師とスタッフの相互理解と協調など、歯科に携わる者にとっての基本を重視。自身の歯科クリニックだけでなく、主宰する勉強会の場でも後進の指導に惜しみないエネルギーを注いでいる。歯科医師歴30年を迎えて、ますます精力的な青井院長と成長著しい若手・大場強斗先生の師弟に、クリニックの特徴や患者に対するスタンス、青井院長の情熱の源などについて語ってもらった。
技術の向上も知識や経験の蓄積も、すべては患者のため
まずは、どのような歯科クリニックなのか教えてください。
【青井院長】先日、私が16年前から参加している学術講演会で初めて大会長を務める機会を頂きました。その際、私自身が一番大事にしている理念であり、当クリニックとしても常に意識している「for Patients」を大会テーマに掲げました。30年の歯科医師人生を振り返ると、文献やエビデンスから知識を吸収し、技術でそれに追いつこうと経験を重ねてきました。壁に当たったら再び本をひもといたり、先輩方に教えを請うようにしたりと、自身を鍛えていく過程でした。しかし、私たちがめざしているのは歯科医師として高みを追求することではありません。それを必要とするさらに高い「目標」のために日々研鑽を重ねているのです。
【大場先生】その「目標」とは患者さん主体の医療を患者さんのために提供することですね。
【青井院長】そうですね。いたってシンプルですが「for Patients」に勝る目標はないです。
近年の患者さんの訴えや年齢層などに傾向はありますか?
【青井院長】当クリニックでは、歯周病治療とインプラント治療に力を入れてきました。開業から約20年間、虫歯の患者さんが少なくなった一方で歯周病がいよいよメインになり、予防の重要性がさらに増した感覚があります。それに伴い患者さんの歯科に対する意識も向上して、しっかり治療したいとおっしゃる方が目立つように思います。患者さんの年齢層については、20年間診療を続けてきて私自身も50代を迎えたこともあり、同世代の方に多く来ていただいている印象があります。診療について説明の引き出しは多くなっていると思うので、人生経験が豊富な患者さんにもご納得いただきやすいのではないかと思います。
患者さんとの向き合い方について教えてください。
【青井院長】治療には患者さんと歯科医師の相互的な信頼関係が欠かせないので、あらかじめできること・できないことをはっきり伝えています。医療従事者は患者さんの体を治すことをめざすのが仕事ですが、歯科の場合は「この薬を飲んだら3日で治療が終わる」というような治療法はありません。どうしても一定の期間通っていただく場合が多いですし、治療計画への同意も必要です。「説明よりも早く治療してほしい」とお考えの患者さんもいらっしゃるかと思いますが、当クリニックではスピードだけでなく治療の質を重視しています。その思いに共感してくださる方にお越しいただけたらうれしいですね。
診療レベルの底上げとしてスタッフも含め勉強会を開催
大場先生はこちらのクリニックで3年目だそうですが、青井院長のもとでどのような変化がありましたか?
【大場先生】診療への取り組み方が180度変わったと思います。青井院長と出会う前は、自分なりに十分な診療を行えていると思っていました。しかし、臨床現場での青井院長の姿を間近で見て、患者さんにより良い医療を提供するためにはさらに高いレベルを追求し続ける必要があると痛感し自身の姿勢を見直すようになりました。今は青井院長に少しでも近づけるよう、日々のチェックをお願いして改善に生かしています。まだまだ道半ばではありますが、入職した頃と比べると自分の成長を実感できています。
大学の後輩でもある大場先生の成長ぶりを青井院長はどのように見ていますか?
【青井院長】彼に限らず、伸び盛りの若い歯科医師は「自分はしっかりやれている」という自負を持っていることが多いものです。その意識を一度立ち止まって見直し、さらなる成長へ導くことも私の役目だと感じています。大場先生は負けず嫌いなところが長所ですね。難しい要求に対してもできるまで粘り強く挑戦し続ける熱意と探求心があります。よく言っているのは、「なぜこの歯を治療するのか、最後はどのように治療を終えるのかという基本を欠いたままで始めてはいけない」ということです。最初に治療全体の絵を描き、それに従って進めていきなさいとだけ伝え、あとは本人に任せています。手取り足取り教えなくてもめきめき上達しているのがわかります。
歯科医師だけでなく、歯科衛生士らスタッフを含めたレベルアップにも注力されているそうですね。
【青井院長】歯科医師とスタッフの確かな土台となる基礎力を育む目的で、2009年から「Surgical Basic Course(歯周形成外科コース)」という勉強会を定期的に開催しています。大場先生も中心メンバーとして活躍し、知識と技術の向上に努めています。歯科衛生士や歯科助手も参加できるようにした理由は、一般的に学会などで得たことを歯科医師がスタッフに半分程度しか伝えられていない現実があったからです。それでは医療機関としての実力の底上げにつながりません。こうした学びを通じて、院内スタッフを含めた医療の質の向上に取り組んでいます。
当たり前で正しいことを、患者のために続けたい
改めて“患者さんのために”という青井院長の信念は、どのようにして形成されたのかを教えてください。
【青井院長】歯科医師1年目で神戸の歯科医院に勤務していた際、阪神淡路大震災が起きました。周囲の建物が壊れ、がれきが道をふさぐ極限状態でしたが、自分が今できることをしようと考え、自家用の四輪駆動車で避難所を回りました。災害発生後の混乱の最中、早くから動いた私の判断を否定的に見た人がいてすごく悔しかったんです。こんな時に患者さんのために動かなくてどうして医療従事者を名乗れるのか、と。その時、自分にとって当たり前で正しいことを認めさせるために結果を出すと決意しました。あの日の強い感情が、30年たった今も私を励ましています。
こうした青井院長の原点にふれて、大場先生も影響されましたか?
【大場先生】はい。過去に青井院長の講義を受けたことがあり、その際に阪神でのご経験をはじめ東日本大震災の際も現地入りしボランティアに奔走されたことを聞き、本当に情熱的な方だと感じました。その影響もあり、私自身も患者さんのためになる治療がしたいとずっと考えてきました。当クリニックに来てからは、その想いがさらに強く大きくなっています。厳しく指導してくださる先輩ではありますが(笑)、そこから学べることの大きさは何物にも代えがたいと感じています。
最後に、クリニックの今後についての考えをお聞かせください。
【青井院長】以前は想像できませんでしたが、60歳が迫ってきて自分よりも若い人を診ることに、少し後ろめたい気持ちが湧くようになりました。患者さんとのお付き合いが長く続いた場合、私のほうが先に人生を終えると思うと申し訳ないからです。とはいえ、尊敬する先生方の中には80代で現役という例もあるので、自分もまだまだです。これまでに培った技術や哲学を大場先生や勉強会の仲間など次の世代に伝えながら、私たちを頼ってくれる患者さんのためにできる限りの診療をこのクリニックで提供し続けたいと思います。
【大場先生】青井院長には本当にお世話になっていますし、その診療に対する姿勢から今も多くのことを学ばせていただいています。これからもご指導いただきながら、自分自身をさらに高めていきたいですね。