馬場 謙治 院長の独自取材記事
馬場耳鼻咽喉科
(大阪市住之江区/住之江公園駅)
最終更新日:2026/08/19
住之江公園駅から歩いて10分ほどの場所に「馬場耳鼻咽喉科」がある。院内は広々としており、待ち時間もゆったりと過ごせそうだ。馬場謙治院長は、耳、鼻、喉の症状からアレルギー疾患まで幅広く診療している。「説明が長くて診療時間が延びる」と先生は語っているが、それは患者のことを気遣っているからなのだろう。耳が聞こえづらい人には補聴器を使用してもらい、病気や治療の説明をしっかり聞くための取り組みも行っている。幼い頃から開業医である父の背中を見て育ち、自分も同じ道を歩みたいと願っていた馬場先生。患者と接する時間を増やしたいという思いから開業し、以来20年にわたり患者の幸せを願いながら治療を行っている。謙虚で気遣いにあふれる馬場先生に、診療内容や開業の経緯を聞いた。
(取材日2018年5月29日)
開業医である父の背中を追い、同じ道を歩み始める
勤務医ではなく開業医という道を選ばれたのはどうしてですか?

私の父が大阪市内で耳鼻咽喉科を開業していたんです。その背中を見ていたので、いつか自分も開業したいと思っていました。医学部を卒業後、最初は勤務医として働き始めました。勤務医としての生活は忙しかったのですが、やりがいもありました。しかし、役職が上がれば上がるほど会議などで現場を離れることが多くなり、患者さんとの接点が少なくなっていると感じていたんです。もちろん、会議も医師としての大切な仕事なんですが、私にとって医師の原点は開業医であった父の背中だったので、開業への決意を固め1998年に開業しました。私は一から自分で築き上げたい性格なので、父のクリニックを継ぐのではなく、親友の先生と相談しながらこの場所で開業することにしたんです。
住之江区で開業したのはなぜでしょうか?
私が開業した当時、この周辺に耳鼻咽喉科のクリニックが他の地区に比べて少なかったということが大きいでしょうか。開業するにあたり、場所は大阪市内のどこかでやりたいと考えていました。大抵の場合、開業するときにはどこに何科のクリニックがあるのかをリサーチするんですね。同じ診療科が密集しても意味がありませんから。大阪は日本でも耳鼻咽喉科が多い場所なので選択肢が限られていましたが、そんな中で候補に上がったのが住之江区だったんです。この辺りは、以前勤めていた市立堺病院(現・堺市立総合医療センター)への行き帰りでよく通っていた場所なのでなじみがありました。住之江区は下町情緒があふれる良い町ですね。患者さんと接する時間を増やしたいと願って開業した私にとって、この場所はベストでしたね。
来院される患者さんの年齢層や主訴に関してはいかがですか?

当院は、赤ちゃんからご高齢の方まで幅広く通っておられます。勤務医時代は小さいお子さんを治療することが少なかったんですが、開業してからは多くなりましたね。お子さんと一緒に気軽に通えるように、キッズスペースやベビーベッドも設けています。患者さんの主訴は、時期にもよりますが花粉症に代表されるアレルギー疾患が多いです。耳鼻咽喉科なので、耳鳴りやめまい、外耳炎、喉の痛み、風邪など、耳・鼻・喉の病気がもたらすさまざまな症状の診断と治療を行っています。
アレルギーの原因を特定し予防することが第一歩
先生が特に得意とされている分野は何でしょうか?

アレルギー疾患を特に専門としています。当院は広いスペースがあるので、開業したときにアレルギー疾患を検査する機器を多く導入できました。そのため、院内で多くの検査を行うことができ、素早く正確な診断を心がけています。アレルギーの治療に関して、方法は一つだけではありません。例えば花粉症の場合、免疫療法や薬での治療など複数の治療法があります。患者さんがどうしたいのか要望をお聞きして、いくつかの選択肢を提案しています。
アレルギー疾患は具体的にどのような治療を行うのでしょうか?
まずは、アレルギーにはさまざまな原因があるので、その特定を最初に行います。例えば、アレルギー性鼻炎の場合、血液検査、皮膚や鼻水のチェックなどいくつかの検査項目があります。それらすべてで反応が出て初めてアレルギー性鼻炎と診断されます。原因が特定されたら次に予防ですね。できる限りアレルギー反応を引き起こさないようにすると、症状が軽くなることが見込めます。正しく予防していかないと、アレルギーの種類がどんどんと増えてしまう恐れもあります。アレルギー症状は似通っているので、症状だけで原因を特定できるわけではありません。風邪の症状と見分けがつかないこともあります。薬を飲んですぐに良くなるものではないので、長期的な治療が必要になります。
外来では補聴器についての相談にも対応されているそうですね。

月に1度のペースで、補聴器の試着や調整、相談を受けつけています。さらに当院では、耳の聞こえにくい患者さんに対して、診療中に補聴器を使用してもらいます。というのも、難聴の方の場合、こちらからは話をよく聞いているように見えても、実はあまり聞き取れていない場合があるからです。病気や治療内容の説明はとても重要なことです。患者さんがしっかり理解できるように、クリニック側としてこの取り組みを実施しています。患者さんの中には、日常生活で補聴器を使いたがらない方もいらっしゃいます。しかし、耳が聞こえにくいと気分が落ち込みやすいですし、難聴が認知症を引き起こすという研究結果も報告されています。「聞く」ということは脳を刺激する大切な行為なので、できるだけ補聴器を使うことをお勧めしています。
医療は人を幸せにする科学という考え方に共感
スタッフの皆さんとても仲が良い印象を受けました。

そうですね。クリニックで働くスタッフ同士が仲良くないと良い仕事はできません。新しいスタッフが入ったときは、専属の教育係を決めて世話してもらっているんですよ。また、私自身も定期的にスタッフ一人ひとりと一対一で話す時間を取るように努めています。何か普段と雰囲気が違うなと思った場合には、他の人からも話を聞いたりしていますね。病院であってもクリニックであってもチーム医療が基本だと思います。私がすべて完璧にできるわけではなく、患者さんとの受け答えが食い違っていることもあるでしょう。そんな時にはスタッフがすかさずフォローしてくれます。患者さんの幸せのためにみんなで協力し合っているので、なるべく笑顔でやっていきたいですね。
今後の展望を教えてください。
私の恩師は、「医療は人を幸せにする科学だ」とおっしゃっていました。私もこの考え方に同感なので、この言葉を自分の座右の銘にしてます。自分が関わる人には幸せになってもらいたいですね。開業するとどうしても診療以外のことも行わなければなりません。その結果、気配りが行き届かないことも出てきてしまいます。それでも患者さんを幸せにするために、引き続き自分のできることを行っていきたいですね。治療に関しては、アレルギー疾患を専門にしているので、アレルギーの根本治療を積極的に取り入れていきたいと考えています。花粉症や食物アレルギーによって多くの患者さんが苦しんでいます。少しでも苦しみを和らげるお手伝いをしていけたらうれしいです。
それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

特に難聴に悩んでいる方にお伝えしたいことがあります。耳が聞こえにくいことを引け目に感じることがあるかもしれませんが、人は誰でも年老いていくと難聴になっていくので、決して恥ずかしがることはありません。特に診療は大切な話をする機会なので、もし耳が聞こえにくい場合は最初に言っていただけると幸いです。今は昔と違って補聴器をつけることに対する偏見もなくなってきました。もちろん、補聴器をつけることは快適ではないでしょうが、ある程度自分の個性として堂々としていただくと良いのではないかと思います。特に当院は耳鼻咽喉科なので、皆さんの力になりたいと願っています。お困りのことがあれば、お気軽に相談してください。

