大塚 薫 院長の独自取材記事
おおつか内科クリニック
(京都市伏見区/淀駅)
最終更新日:2026/08/03
京阪本線の淀駅から徒歩約3分の場所にある「おおつか内科クリニック」。院長の大塚薫先生は、基幹病院の循環器内科で心臓カテーテル治療や救急医療の現場に立ってきた経歴を持つ。2019年9月に現在の場所で同院を開院。豊富な経験を生かし、医院でありながら高度な検査機器をそろえ、迅速で精密な診断を追求。一方で、「自分の家族ならどうするか」を常に問いかけ、地域の患者が必要とする医療を実直に体現している。「患者さんのために、常に診療の質を高めるために何ができるか」を考え続ける大塚院長に、同院の特徴や診療で大切にする思いについて聞いた。
(取材日2026年7月2日)
経験を生かした診療を木のぬくもりを感じる医院で
まずは、医師をめざしたきっかけを教えてください。

実家が調剤薬局を営んでいたので、幼い頃から医療は身近な存在でした。高校生の頃に、より直接的に患者さんと接することができる分野に携わりたいという思いが強くなり、医学部に入学しました。大学での臨床実習では、外科と内科で迷った時期もありましたが、目の前の症状から一つ一つ事実を積み上げて解明していくのが好きな性格なので、内科のほうが向いていると思いました。循環器内科の臨床実習を経験して、興味を持てる診療科で、学問としても生涯追究できると思い、循環器内科を専攻することにしました。
これまでのご経歴をお聞かせください。
母校の大学病院での臨床研修を終えて勤めた和歌山県内の病院では、心臓に疾患がある患者さんのカテーテルを用いた治療をメインに担当しました。救急搬送された患者さんに対応することもよくありましたね。また京都府の病院では心臓外科の先生のもとで診療しながら、循環器内科の立ち上げを経験しました。看護師などさまざまな職種の人とチームを組んで、診療科を組み立てていく経験は、当院を開業する際にも役立ちました。この病院では、肺炎や喘息などの呼吸器疾患の患者さんにも対応していましたね。
院内のこだわりは何ですか?

実は近くに病院時代にお世話になった先生が開業されていて、その雰囲気がいいなと思っていたんです。そこで、その医院を手がけられた工務店さんを紹介していただいて、当院の設計にも携わっていただきました。工務店の方と何度も話し合いを重ねて、患者さんがリラックスして過ごせるよう、木のぬくもりを大切にした開放的な空間をお願いしました。院内には私の趣味である木製の立体パズルを置いたり、季節に合わせた生花を欠かさず飾ったりしています。これらは妻がSNSで紹介してくれていて、患者さんからも人気なんですよ。
パンデミックを乗り越え、理想の医院づくりに邁進
町の医院として、大切にされていることは何ですか?

「こんな医院があったらいいな」という理想を、一つ一つ具現化することを大切にしています。開院半年で新型コロナウイルス感染症の流行に直面しましたが、当時は「新型コロナウイルス感染症を診ると他の患者さんが来なくなる」懸念もありました。しかし、地域の困っている人を断らないことが医院を強くすると信じ、プレハブの診察室を建てて全力で引き受けました。その経験が地域の方々との信頼関係につながったのではないでしょうか。また、仕事帰りの方でも受診できるよう夜も診療し、駐車場も広く確保しています。最近は、足腰が不自由な方のために一部地域で送迎サービスを行うなど、医療の質だけでなく、通いやすさというサービス面にも力を入れています。近所の診療所に通うような気軽さと安心感をめざしています。
検査機器も充実していますね。
町の医院ではありますが、基幹病院に近いレベルの検査を迅速に提供できる体制を整えています。心臓の動きを細部まで確認できる高性能な超音波検査機を導入しました。臨床検査技師が常駐し、その場で適切な診断を出せるようにしています。朝に受けた健康診断の結果をその日の夕方に確認できるスピード感も、自慢です。不安を抱えて来院された患者さんを「結果は1週間後です」と待たせることなく、少しでも早く安心させてあげたい、必要な治療へつなげたいという思いがあるからです。ハード面の充実は、私が理想とする質の高い医療を支えるための土台となっています。
すべては「こんな医院があったらいいな」を実現するためなのですね。

そうですね。私がめざしているのは、チェーン展開するレストランのように規模を広げるのではなく、一軒の料理店として「診療の質」を深めていくことです。ただの風邪や咳であっても、実は突き詰めれば奥が深く、一筋縄ではいかない難しさがあります。仕事で忙しい方が一度の受診で安心し、できるだけ早く日常生活に戻れるよう、いかに初診で適切な方向性を見出せるか。そこには、ありふれたように見えても一品一品に細かな手間暇をかける料理人のような、実直なこだわりが必要なのです。新しい流行の治療に手を広げるよりも、今提供している医療の精度をさらに高め、患者さんが通うほどに価値を感じていただける場所でありたいと考えています。診断の質を研ぎ澄ませていくことこそが、私の理想の姿です。
常に親身であることを大切に、診療の質を追求し続ける
診療の中で重視されていることは何ですか?

常に「自分の家族ならどうするか」を自分自身に問いかけています。医師になって間もない頃に上司から教わった言葉で、今も私の信念です。もしこれが私の母や子どもなら、この薬を勧めるだろうか、様子を見るべきだろうかと考えることで、医学的な正論だけではない、一人ひとりの生活に寄り添った答えが見えてきます。また、正直であることも重要です。自分の専門領域を越えるものや、当院で抱え込むべきではないと判断した場合は、速やかに適切な専門機関を紹介します。患者さんと一緒にパソコンを見ながら「私ならここを考えます」と提案することもあります。
訪問診療にも対応されていますね。
住み慣れた自宅で最期までその人らしく過ごしたいという願いを支えるため、訪問診療には特に力を入れています。突然介護が必要になったとき、ご家族は「家で見るなんて無理だ」とパニックになられることも多いのですが、訪問看護師やケアマネージャーと連携し、一つ一つ環境を整えていけば穏やかな日常を取り戻していくことも望めます。以前、麻雀好きの患者さんのために、看護師が段ボールで麻雀台を作ってくれたことがありました。それを見たご家族が「夫が家でこんなに楽しそうに過ごせるなんて」と喜んでくださり、ご家族が傍らで見守る中で最期まで穏やかに過ごされていました。そんな光景が、今も忘れられません。在宅医療は大変な面もありますが、ご家族から「最期の時間を見守ることができて幸せでした」という声をいただくと、この道を選んで良かったと強く感じます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「こんなことで相談してもいいのかな」とためらう必要はありません。おなかの痛みでも、健康診断の結果への不安でも、何でも気軽に話しに来てください。私たちは、皆さんの不安を一つずつ解きほぐし、迅速に答えを見出すための準備を整えています。在宅医療を検討されているご家族も、一人で抱え込まずにまずはご相談ください。介護には大変な面もありますが、プロのサポートがあれば、家で過ごす時間はとても豊かなものになります。私はこれからも、新しいことへ手を広げるよりも、今提供している診療の質をより深く、より実直に高めていくことに心血を注いでいくつもりです。

