米山 俊之 院長の独自取材記事
江戸川ピースクリニック
(江戸川区/船堀駅)
最終更新日:2026/09/25
都営新宿線船堀駅から徒歩約20分。ビルの5階にある「江戸川ピースクリニック」は、2025年に開院した小児科・アレルギー科のクリニックだ。開放的な待合スペースにキッズスペースを備え、予防接種や乳幼児健診の待機スペースを一般受診と分けるなど、小さな子どもへの配慮が随所に光る。アレルギー診療では乳児から大人まで幅広く対応している。院長の米山俊之先生は、順天堂大学でアレルギー専門の外来を担当し、食物アレルギーの研究で医学博士号も取得した医師。自身も幼少期からアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息を経験してきたといい、「患者さんのつらさは自分自身が感じてきたこと」と穏やかに語る姿が印象的だ。米山院長に、開業への思いや乳児湿疹と食物アレルギーの関係、診療で大切にしていることについて聞いた。
(取材日2026年8月31日)
自身のアレルギー体験を原点に、小児科の前線へ
先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。

医師をめざしたきっかけは、高校生のときに父親が手術を受けたことです。命に関わる状況の中で、主治医の診察や振る舞いを間近に見て、素晴らしい仕事だと感じたのが原点になりました。埼玉県の出身ですが、祖父母が新潟出身でなじみのある土地だったことから新潟大学に進学し、卒業後は済生会川口総合病院での初期研修を経て順天堂大学の小児科に入局しました。最後まで外科と迷いましたが、初期研修中に子どもたちとふれあう中で「この子たちのためなら夜寝ずに働ける」と思えたことが決め手でした。その後は大学病院や関連病院で新生児医療を含む小児科全般に携わり、直近は順天堂大学浦安病院で病棟医長を務めていました。
アレルギーを専門にされた理由をお聞かせください。
私自身、幼い頃からアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息を抱えていて、小児科にずっとお世話になっていたんです。患者さんのつらさやもどかしさは自分自身が経験してきたことでもあるので、その経験を生かして患者さんに還元したいという思いからアレルギーを専門に選びました。順天堂大学に入局後、小児科内のアレルギーグループに所属し、3年目からはアレルギー専門の外来も担当。大学院では食物アレルギーの治癒メカニズムの研究にも取り組み、医学博士を取得しました。
大学病院から地域のクリニックへ。その決断に至った思いをお聞かせください。

大学病院の小児科には15歳までという区切りがあり、食物アレルギーの治療がまだ必要な患者さんでも、年齢を理由に診続けることが難しい現実がありました。「私たちはどこに行ったらいいんですか」という声をいただく度に申し訳ない気持ちになりました。もう一つ、紹介を受ける立場では早期介入にも限界があり、もう少し早くから治療を始めていればと感じることが少なくなかったんです。自分が前線で治療や情報提供に取り組む方が患者さんのためになると考えていたところ、当法人に出会い「必要な地域で必要な方に医療を届けたい」という理事長の理念に共感し、ここでならアレルギー診療を追求できると確信して開業を決めました。
乳児湿疹の治療から始まるアレルギー予防
赤ちゃんの湿疹は、いつ頃から治療を始めるのが良いのでしょうか。

最近のデータでは、生後1〜2ヵ月の段階から湿疹の治療を始めたほうが、将来食物アレルギーになるリスクを下げられるとわかってきています。湿疹が出てから治療開始までの期間が長いほどリスクが高まるという報告もあり、早めの対処が大切です。当院では生後2ヵ月の予防接種で初めていらっしゃるお子さんが多いのですが、その際に肌の状態もできるだけ確認するようにしています。治療が必要と判断した場合は親御さんに説明した上で、その段階から皮膚の治療を始めることもあります。もちろん湿疹があれば必ず食物アレルギーにつながるわけではありませんが、お子さんのかゆみを減らすためにも、正しい情報をお伝えしながら早めに対応するよう心がけています。
食物アレルギーの診療で大切にされていることを教えてください。
食物アレルギーは、一度症状が出ると怖くなる親御さんも多いと思います。具体的な量や食べ方の工夫をお伝えしながら、負担が減らせるように食事に関するアドバイスをすることが私の得意分野です。食物アレルギーは症状の出方がさまざまで「何科に行けばいいかわからない」という声も聞きますが、当院ではアレルギーに関しては大人の方まで対応しています。小学校高学年くらいからは「自分の体のことは自分で把握しようね」と本人にも声をかけ、将来一人で通えるよう橋渡しをしていくことも大切にしています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか。

診療で大切にしているのは、プレパレーションという考え方で、患者さんがお子さんであっても、処置の前にきちんと説明することです。2歳や3歳でも「これからこういうことをするよ」「3秒数えたら終わるから頑張ろうね」と話すことで、泣かずに処置を終えることをめざします。クリニックは怖くない場所だと思ってもらいたいですね。スタッフが手描きしたシールを治療を頑張ったお子さんにご褒美として貼っているので、お子さんのやる気につながっていたらうれしいです。私も、診察中はお子さんと同じ目線で接するようにしています。私にも娘がいるので、子どもたちの間で流行っていることなどを話題にすることもありますね。保護者の方に対しては、まず気軽に不安を話してもらえる関係をつくり、食べ物のアレルギーについても「今はこういう状態なので、この量まで食べても大丈夫ですよ」と根拠を添え説明するなど、安心していただけるよう努めています。
子どもも大人も、気軽に頼れるクリニックをめざして
小さなお子さん連れでも安心できるよう、院内で工夫されていることはありますか。

当院では一般の受診と予防接種・乳幼児健診とで、待機スペースや診察室の動線を分けています。生後2ヵ月の予防接種に来てくれた赤ちゃんが、風邪のお子さんと同じ空間で待つことがないようにという配慮です。待合は広々とした開放的なつくりで、キッズスペースにはベビーサークルも備えていますので、小さなお子さん連れでもゆったり過ごしていただけます。赤ちゃんの鼻水吸引だけのご利用も予約なしでお受けしていますので、ちょっとしたことでも気軽に立ち寄っていただけたらうれしいです。徒歩3分の場所に提携駐車場が2ヵ所あり、お車でもいらしていただけます。スタッフは3人と少人数ですが、全員子どもが好きで、チームで協力しながら日々の診療にあたっています。
今後、どのようなクリニックにしていきたいですか。
体調が気になった時に、「あそこ行ってみようか」とすぐ思い浮かべていただけるようなクリニックでありたいです。アレルギーに関しては赤ちゃんから大人の方まで対応していますし、近隣にお住まいでない方や、他の先生の意見も聞いてみたいという方も気軽にいらしてください。開院して感じたのは、「このくらいなら我慢できるかな」と受診を控えている方が想像以上に多いということです。同じ薬でも塗り方を変えるだけで改善が期待できることもありますので、気になることがあれば悩まずにご相談いただけたらと思います。アレルギーであれば大人の方も診ているということはまだまだ知られていないので、今後はもっと情報を届けていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

少しでも気になる症状があれば、「ひとまず見てもらおうかな」という気持ちで気軽に来ていただけたらうれしいです。アレルギーに関しては、乳児湿疹に早期に対応することが、その後の食物アレルギーの発症予防にもつながります。大人の方のアレルギーも症状の改善が期待できるため、諦める必要はない病気だと考えています。「このくらいで受診していいのかな」と迷うこともあるかもしれませんが、何もなければそれで安心ですし、気になることがあればその場でお話しできます。お子さんのことはもちろん、ご自身やご家族のアレルギーについても遠慮なくご相談ください。ちょっとつらいなと感じることがあれば、本当にふらっと立ち寄っていただければと思います。気軽に頼ってもらえることが、私にとっても一番のやりがいです。

