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森 健 院長の独自取材記事

武蔵小山こころのクリニック

(品川区/武蔵小山駅)

最終更新日:2026/10/06

森健院長 武蔵小山こころのクリニック main

2026年8月、武蔵小山駅から徒歩5分のクリニックモールの4階に開業した「武蔵小山こころのクリニック」。同院の診察室には大きな窓があり、周囲に遮るものが少ない開放的な眺めが訪れる人の緊張をそっとほぐしてくれる。院長の森健先生は、大阪医科薬科大学を卒業後、東京大学医学部附属病院での臨床研修を経て精神科に入局。精神科救急や認知症病棟、訪問診療などさまざまな現場で経験を重ねてきた精神科医だ。「患者さんにとって本当に必要な最低限の治療によって、お薬に頼らない生活に戻れるようサポートするのが理想です」と語る森院長。穏やかで飾らない語り口の中に、「患者にとっての最善」を真摯に追い求める温かさがにじむ。そんな森院長に、開業にあたっての思いや、めざす医療の在り方などについて話を聞いた。

(取材日2026年8月25日)

本質的な精神科医療を追い求めて

先生が医師を志されたきっかけを教えてください。

森健院長 武蔵小山こころのクリニック1

幼い頃から、将来は人の役に立てる仕事に就きたいという思いがあって、医師を志しました。中でも精神科を選んだのは、人の話を聞くのが好きだったからです。患者さんの話をじっくりと聞くことが診療の基本である精神科は僕に向いているのではないかと思い、この道に進みました。大阪医科薬科大学を卒業後は、東京大学医学部附属病院とJR東京総合病院で研修を受け、母校の大学病院の精神神経科に入局しました。その後は急性期病院、慢性期病院での勤務を経験し、統合失調症や身体合併症のある方、長期入院の患者さんなどの治療、認知症やアルコール依存症の診療、訪問診療などに幅広く携わりました。そのほか、修正型電気けいれん療法(m-ECT)や、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)も経験しました。

開業を決意された理由を教えてください。

さまざまな症状を抱える患者さんを診る中で、一人ひとりにしっかりと向き合う大切さを改めて実感したからです。近年は、臨床研修後すぐに精神科クリニックへ勤務するケースが話題になることもあります。そうした中で私は、主治医が継続して患者さんを診ることで治療の質を保つこと、そして本当に必要な検査や治療を見極めて提供することの大切さを、より強く感じるようになりました。私が理想とする診療は、患者さんに満足していただきながら、必要最低限の検査や治療によって、元気な生活に戻っていただくことです。過剰なことはせず、その方にとって本当に意味のあることだけを行いたい。そうした思いが、開業を決意した大きなきっかけになりました。日本精神神経学会精神科専門医として培ってきた経験を土台に、自分の手で本質的な医療を届ける場をつくりたいと考え、このたび武蔵小山にクリニックを開きました。

院内でこだわったところはありますか?

森健院長 武蔵小山こころのクリニック2

精神科、心療内科の診察では、患者さんが安心して話せる環境づくりが欠かせません。心の不調を抱えている方にとって、初めての受診は特に緊張するものだと思います。そこで、院内はまぶしすぎず暗すぎない、落ち着いた照明に仕上げました。診察室には大きな窓があって、窓の外には景色を遮る建物が少ないので、眺めもいいんです。圧迫感のない空間で、少しでもリラックスしてお話しいただけたらと思います。

診断名にとらわれず、一人ひとりに寄り添う診療を

こちらではどのような診療をされていますか?

森健院長 武蔵小山こころのクリニック3

うつ病や双極性障害、適応障害、不眠症、統合失調症、アルコール依存症、不安障害など幅広い精神疾患、心因性の症状に対応しています。今後は認知症にも取り組んでいきたいですね。特定の疾患に絞るというよりは、小さな不調や眠れないといった困り事からでも気軽に相談していただける、地域の身近なクリニックでありたいです。初診の際は、当院ではまず心理士や看護師がこれまでの経過やお悩みを丁寧に聞き取ります。ご本人からの相談に限らず、ご家族からお話を伺うこともあります。情報をしっかり集めた上で私が診察を行い、ご本人と相談しながら治療方針を決めていきます。

患者さんと接する時に大切にされていることは何ですか?

まず患者さんのお話をじっくり聞くことです。私自身は話しすぎず、患者さんが何を求めていらっしゃるのかを丁寧に把握するようにしています。一方で、話すことが苦手な方もいらっしゃいますので、そのような場合は無理にお話しいただかなくても問題ありません。こちらからいくつか質問をさせていただいたり、表情や仕草から推し量ったり、患者さんのペースに合わせた傾聴を心がけています。診断にあたっては、生育歴や生活の背景なども可能な範囲で確認し、総合的に判断していきます。また、精神科では診断基準にぴったり当てはまる方ばかりではありません。例えば統合失調症の診断基準に当てはまらなくても、「見張られている気がする」という症状がある方もいます。反対に、発達障害の診断基準を満たしていても、生活に支障がなければ、無理に診断をつける必要はないでしょう。教科書的なアプローチではなく、症状や困り事に応じた診療を心がけています。

治療を進める上で、気をつけていることはありますか?

森健院長 武蔵小山こころのクリニック4

お薬を処方するときは、極力依存性の少ないものを選び、お薬の数もできるだけ抑えるようにしています。お薬が増えると減らすのにも時間がかかり、治療が長引いてしまう傾向があるからです。治療といえば、服薬治療のイメージがあるかもしませんが、それだけではありません。当院では、心理士によるカウンセリングや、対話の中で気持ちを整理する精神療法、生活環境の調整など、複数の手段を組み合わせてご提案しています。受診したからといって必ずお薬を使うわけではなく、お話を聞くだけでも大丈夫です。患者さんのご希望を確認しながら一緒に治療を考えますので、ご安心ください。「寛解」と呼ばれる、症状が落ち着いた状態をめざして、長い目でサポートしていきます。

心の不調を気軽に相談できる身近な場所へ

休職や復職に悩む方への対応についてお聞かせください。

森健院長 武蔵小山こころのクリニック5

働く方の休職や復職のご相談は、力を入れている分野の一つです。診療を通じて社会に貢献したいという思いもあり、適応障害で休職された方ができるだけ早く改善し、働きやすい環境に戻っていくことは、ご本人にとっても周囲にとっても良いことだと考えています。お仕事に関わるお悩みや症状については、これまでも多くの患者さんからご相談をいただいてきましたので、職場の事情なども踏まえた対応が可能です。休養が必要と判断した場合は、診断書を速やかに作成できる体制を整えているほか、休職中から復職に向けたサポートにも取り組んでいます。会社への伝え方の助言や復職支援プログラムの活用、復職後の勤務調整、再発を防ぐための環境整備などもご提案しています。焦って戻るのではなく準備を整えてから復帰することが、その後の経過を良好に保つ上でも大切です。

クリニックとして、今後めざしていることをお聞かせください。

患者さんに寄り添った丁寧な診療を続けていくことを土台とし、まずは地域の方に受け入れていただけるクリニックをめざしたいと考えています。また、現在は私が診療にあたっていますが、1人体制ですと、時間をかけて診察をするうちに、他の患者さんをお待たせしてしまうこともあります。長く通院が必要になる方もいらっしゃる以上、待ち時間は少ないほうが通いやすいですから、将来的には医師を増やすなどの体制を整え、丁寧さと効率の両立を図りたいと考えています。心の不調を相談できる身近な場所として、地域に根差したクリニックであり続けるよう努めてまいります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

森健院長 武蔵小山こころのクリニック6

一度きりの受診でもまったく構いませんので、「最近よく眠れない」「漠然と不安になる」「なぜか気分が落ち込む」といった困り事があれば、気軽にご相談いただければと思います。受診するほどのことなのかと迷われる方も多いかもしれませんが、精神的な不調は誰にでも起こり得るもので、早めに相談することがその後の生活のしやすさにつながるケースは少なくありません。何がつらいのかうまく言葉にできない段階でも大丈夫ですので、遠慮なくご相談いただければと思います。