渡會 伸治 院長の独自取材記事
石川町内科クリニック
(横浜市中区/石川町駅)
最終更新日:2026/10/15
石川町駅から徒歩約2分。「石川町内科クリニック」はビルの3階に位置する。渡會伸治(とごう・しんじ)院長は、横浜市立大学で長年にわたり診療と研究に携わり、横浜掖済会病院では消化器病センター長、副院長を歴任した消化器のスペシャリストだ。肝臓外科医として前線を歩んできたが、診断から治療、その後のフォローまで一貫して診たいという想いから、2013年4月に同院を開業。掲げるのは「病気を診るのではなく、人を診る」という一貫した方針だ。国籍や事情を問わず誰もが立ち寄れる地域の窓口として、消化器のがんの早期発見に力を注ぐ。今回は、患者層や診療にかける想いなどについて詳しく聞いた。
(取材日2026年8月27日)
症状前検査の大切さを伝え、がんの早期発見へ尽力
がんの早期発見のために、どのような検査に力を入れていますか?

上部内視鏡、いわゆる胃カメラと、下部内視鏡の大腸カメラ、それに腹部の超音波検査です。この3つで、消化器のがんはかなり早い段階で見つけることができます。これまで、がん検診や第一線での診断活動、がんに関する正しい知識の普及などに長く取り組み、疾患の早期発見のために数多くの内視鏡検査に対応してまいりました。目の前の患者さんのがんを1つでも早く見つけることこそ、私にとっては大事なことだと思っています。
内視鏡検査に怖さや苦手意識を持っている方も多いと思います。どのような工夫をされていますか?
当院では鎮静剤を使って、できるだけ苦痛に配慮した状態で受けていただくことを基本にしています。気がついたらもう検査が終わっていた、という状態をめざしています。感じ方には個人差がありますし、鎮静剤が効きにくい方もまれにいらっしゃいますが、多くの方には少ない負担で受けていただけていると思います。初めての方はやはり緊張されると思いますが、実際に鎮静剤を用いた内視鏡検査を受けたことのある方から話を聞いて来られるケースが多いですね。もし検査が終わった後に「ありがとう」と声をかけていただけたら、続けてきて良かったと感じるでしょう。
早期受診の大切さについて、日頃どのようなことを感じていますか?

やはり症状が出る前に、定期的に検査を受けていただくのが大切です。目安としては40歳以上の方で、胃内視鏡検査はピロリ菌のない方なら2年に1回、除菌をされた方は1年に1回です。除菌をしても胃がんのリスクがゼロになるわけではありませんので、その分、短い間隔で見ていきます。大腸内視鏡検査は何もなければ2〜3年に1回、ポリープがあった方は1年に1回。超音波は特に問題がなければ年に1回で、胆石やポリープなどがある方には半年に1回といったところをお勧めしています。自覚症状が出てから検査を受けられると、検査を受けた時にはもう進行した状態となっていることがあり得ます。検査はつらいものだと思い込んでいて、どうしても受けたくないという方もいらっしゃるでしょう。検査は決してつらいだけのものではないということを、まずは知っていただけたらと思っています。
最近、予約システムを導入されたそうですね。
そうですね。スタッフが電話を取る機会がとても多くて、そのうちの6割ほどが予約に関するものです。これを減らさないとスタッフがパンクしてしまいますから、ご予約はできるだけインターネットで、病状に関するご相談はお電話で、という形にしました。自動精算機も導入しています。その分スタッフが患者さんと向き合う時間を取りやすくなりますし、受付での手続きもスムーズになります。働く側にとっても患者さんにとっても、負担の軽い形をつくっていきたいと考えました。
「病気を診るのではなく、人を診る」を貫く
現在はどのような患者さんが多いのでしょうか?

当院があるのは横浜中華街の入り口にあたる場所ですので、地域柄、外国から来られた方がとても多いです。中国の方はもちろん、最近はネパールの方が増えましたし、韓国の方もいらっしゃいます。普段なかなか体調管理まで手が回らないという方も少なくありません。年齢層は幅広いのですが、中心になるのは60歳以上の方ですね。
診療の際、大切にしているモットーがあれば教えてください。
開業した頃から変わらず「病気を診るのではなく、人を診る」ということを大切にしています。どんな症状であっても、まずは患者さんを受け止め、丁寧に診察する。その上で、自分の専門領域を超える場合には、ためらわず適切な医療機関へつなぐ。そうした“患者さんのための最善の動線づくり”をずっと続けています。私の専門は消化器ですので、胃と大腸の検査をしながら早期のがんをできるだけ早く見つけること、それから超音波で肝臓や胆嚢、膵臓の病気を早く見つけることが一番の目標です。患者さんと接する際に心がけているのは、伝えるべきことはしっかりと伝えるということですね。そこはきちんとしなければいけないと思っています。
「人を診る」という姿勢は、どのような経験から生まれたのでしょうか?

私は51歳まで横浜市立大学に勤め、肝臓外科医として診療と研究、それに教育にも携わっていました。専門を深く突き詰められる環境でしたが、大規模病院では臓器別の再編が進み、診断と治療、その後のフォローをそれぞれ別の医師が担当することも多くなります。患者さんの立場で考えると、1人の医師が最初から最後まで診てくれるほうが安心なのではないか、と考えるようになりました。開業してからは肝臓に限らずあらゆる症状に対応し、診断から治療、その後のフォローまで一貫して診るという考えで取り組んでいます。
女性医師在籍で地域に寄り添う相談しやすい医療
禁煙の治療も再開されたと伺いました。

一時期は中断していたのですが、禁煙補助薬の供給が再開されましたので、今年からまた始めました。禁煙の治療を目的にいらっしゃる方も結構多いですね。禁煙治療の対象かどうかは、1日の喫煙本数と喫煙年数から判断します。例えば、1日20本吸う方なら、10年以上喫煙を続けていることが一つの目安になります。
ところで、休日はどのように過ごされていますか?
気分転換はゴルフですね。ゴルフを始めてもう30年ほどになります。あとは旅行が好きで、つい先週もオーストラリアに行ってきました。一緒に行ったのは友人なのですが、実は患者さんでもあるのです。もう15年ほどの付き合いで、長い友達のような関係ですね。診療の中で自然と、そういう付き合いが生まれていくのだと思います。
今後の展望をお願いします。

今は娘が週に2回、一緒に診療をしてくれています。娘も内視鏡を扱いますので、少しずつバトンタッチをしながら、この先も地域の皆さんを長く診ていける体制を整えていきたいと考えています。それから、開業した当初は治験にも取り組んでいて、今もインフルエンザや新型コロナウイルスに関するものに携わっています。こちらの都合だけで進められるものではないのですが、またがんの診断に関わる治験にも取り組めればと思っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
がんは、早い段階で見つけることができれば治療の選択肢が広がります。「見つかったら怖い」と思わずに、年1回でいいので、ご自分の体の状態をきちんと確認していただきたいですね。そのお手伝いをするのが、私たちの仕事だと思っています。少しでも体調が気になることがあれば、どうぞ気軽にいらしてください。

