萬納寺 聖仁 院長、萬納寺 倫子 副院長の独自取材記事
萬納寺医院
(北九州市小倉北区/西小倉駅)
最終更新日:2026/09/08
西小倉駅から徒歩12分。明るく、清潔感のある色使いが印象的な「萬納寺医院」は、祖父の代から3代続く、地域に愛されるクリニックだ。3代目である萬納寺聖仁院長が同院を継いだのは2020年のこと。家族5代で通う患者もおり、2015年からは副院長である萬納寺倫子先生が皮膚科を開設、2025年4月からは中尾慎吾先生が着任し、小児科・内科・皮膚科という院内の連携を生かした診察を行っている。「0歳から100歳まで、幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃるのが当院の大きな特徴。家族皆さんが一緒に通うことで、包括的な診療が提供できると考えています」と院長は語る。訪問診療にも力を入れ、、地域医療に貢献する二人に、同院の診察のスタイルや治療方針について話を聞いた。
(取材日2026年7月8日)
内科・小児科・皮膚科が連携して総合的な診療を提供
お二人が医療の道をめざしたきっかけからお聞かせください。

【聖仁院長】代々医師の家系で、親戚にも医師が多いんです。私が3代目としてクリニックを継いだのは、父が亡くなった2020年の1月。小さい頃から自然とクリニックを継ぐものだと思っていましたし、他の道を考えたこともありませんでした。勤務医時代は血液内科の医師として、白血病、リンパ腫、骨髄腫などさまざまな症例を診てきました。血液内科は、診断から治療まで一貫して診られる科。難しい治療がほとんどでしたが、治療へと導いていくやりがいも感じていました。
【倫子副院長】私も父が内科の開業医で、小さい頃から医師の仕事が身近にあり、「医者になる」と幼稚園の頃にはすでに自分の夢になっていました。皮膚科を選んだのは、赤ちゃんから年配の方まで幅広い年齢層を診られる科であり、いずれは母・妻として仕事と家庭を両立できる科なのではないかと考えたからでした。
2021年にこちらに移転されたそうですね。天井が高く、広々とした印象です。
【聖仁院長】以前のクリニックから徒歩2分ほどの場所ですから、患者さんも違和感なく通ってくださっているようです。当院は開業から80年以上の歴史があります。患者さんの年齢層も0歳から100歳までと幅広く、中には祖父の代から家族5代で通ってくださる方もおられるほどです。主訴もそれに伴い、幅広いですね。お子さんのワクチン接種やアトピー性皮膚炎、風邪などはもちろん、多いのはやはり糖尿病や高血圧症などの生活習慣病です。認知症のご相談もあり、ご本人から「検査をしてもらえませんか?」と言われることもあります。認知症の検査に抵抗がある方も多いと聞きますが、当院ではそのようなことは少ないようです。というのも、やはり私自身を小さい頃から知っている方もおられるので、孫や子ども、友人に接するような感覚があるのかもしれません。医師に対する壁がなく、堅苦しい雰囲気がないのも当院の特徴だと感じます。
副院長のご専門である皮膚科との連携も強みですね。

【倫子副院長】院長が担当する内科、小児科に加え、私が担当する皮膚科は2015年から診察を行っています。当初は保険診療を中心に、と考えていたのですが、保険診療では対応が難しいニキビの痕、しみなどをケアしたいという声も聞かれ、自由診療の提供も検討しています。年齢に応じてお悩みも変わってきますので、今後も柔軟に、ニーズに応じた医療を提供していきたいと考えています。また、2025年からは中尾先生が小児科を担当してくださっており、より充実した診療体制が整いました。小児科・内科と皮膚科は診察室も隣合わせですから、情報を共有しながら、連携して診察を行うことができると感じています。
情報は包み隠さず、はっきりと伝えることを心がけて
内科、小児科、皮膚科を一緒に受診される患者さんもいらっしゃいますか?

【聖仁院長】患者さんの半数近くの方が、内科、小児科、皮膚科を一緒に受診されていますね。当院は歴史も長いですし、相談内容もさまざまです。24時間心電図、エコーなども用意していますし、診察で必要だと判断すれば、連携している近隣の病院への紹介なども行っています。退院後はまた当院でサポートしていきますし、地域医療の窓口という役割を担っている実感もあります。また、もともと父が患者さんの訪問診療を行っていましたが、今年からは新たに訪問診療をご希望の方も受け入れています。昼休みに医師が1人、あるいは2人と訪問看護師で在宅や施設を訪問します。高齢の患者さんも多いですし、訪問診療のニーズは高いと感じています。
先生方が診療で心がけていることは何でしょう?
【聖仁院長】私は包み隠さず、情報をはっきりと患者さんにお伝えするようにしています。今はインターネットで調べればおおまかな内容も患者さん自身が調べられますから、そこをオブラートに包む必要はないと思っています。むしろ後から知って「そんなこと知らなかった」と患者さんに落胆されることこそ避けなければならないでしょう。勤務医時代、血液内科での治療は本当に難しく、亡くなる確率のほうが高いような治療ばかりでした。だからこそ数字なども含め、うそ偽りなく、しっかりと伝えることが大事なのだと学んできました。それはこのクリニックでもやはり同じですね。
副院長はいかがでしょうか?

【倫子副院長】大学病院時代に師事した先生方は、いずれも丁寧な診療を行う方ばかりでした。皮膚科では見るだけではなく、触れて得られる情報というのは多いものなのです。だからできるだけ見て、触りますし、もしデリケートな部分であってもお願いできませんか、と声をかけます。写真などでは得られる情報にも限りがありますから、できるだけ足を運んでいただいたほうが、精密な診断ができると考えています。治療も、お話をしながら進めていくものなのですよね。薬を塗っていても良くならない場合、無意識にかいているという理由も考えられますから。
対話を大切にし家族全員が安心して通える包括的医療を
患者さんとのコミュニケーションを大事にされているクリニックという印象です。

【倫子副院長】病気の背景にある、治療以外の要素を、対話を通じて見つけていくことはとても大事です。「思いあたることはありますか?」と声をかけながら、患者さんと一緒に理由を推理していきます。だからこそやはり、クリニックに足を運んでいただきたいのですよね。他にも、薬の減りが少なかったら「回数をきちんと塗れていますか?」とお話を聞き出すようにもしています。皮膚科の治療において薬の塗り方は非常に重要で、回数などを正しく行えているかどうかで、結果に影響が出やすいのです。薬を出してそれで終わりというわけではないと、日々感じています。
患者さんが通いやすい工夫があれば教えてください。
【聖仁院長】当院は平日は19時まで、土曜日の午前中も診療しています。その点は忙しい方にも通いやすい環境だと思います。また、風邪をひいた親御さんを内科で、お子さんを小児科で診ることができるのは当院の良さだと思います。来てくださる患者さんお一人お一人としっかり向き合っていれば、おのずとそのご家族も当院に足を運んでくださると思うんですよね。今のスタッフは全員、父の代からいるベテランばかりですから、そういった点でも患者さんに安心して来ていただいていると感じています。困ったことがあって、頼ってくださる患者さんには100%の力を発揮して対応するというのが当院のスタンスです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【聖仁院長】ご家族で同じクリニックに通っていただけると、なお良い治療ができると考えています。同じ家であれば食事内容なども共通していますし、全員で来てくださるとそのお宅の背景が把握でき、治療にも反映できます。生活習慣病であれば食事の塩分量もその一つですね。他にも、お父さんと息子さんが同時期に風邪をひいたとしたら、原因も対処も考えやすくなります。また当院は小児科・内科がありますから、15歳以上になっても同じクリニックに通えるというメリットがあります。皮膚科では女性の医師が診ていますから、「男性の医師だと怖い」という女の子を連れてくる親御さんもいらっしゃいます。そして、当院にはこれまでの歴史があり、患者さんの通う場所をつくっているという意識もあります。ご家族皆さんのかかりつけ医として、何でも相談できる患者さんとの壁がないクリニックでありたいと思います。

